夏目漱石 - 'こころ' Ⅰ

ネタバレがあります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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思いつくままにメモする:

 

2022年の新版だったから、買ったのは2年前ということになるけど、2年前の何月に買ったのかというのは覚えていない。そもそもあまり本を読まない私が最近少し本を読むようになったのは、SNS上で関わりのある人達が、マニアックな本を読んだことをSNSにポストしていて、私も本を読めば彼らのような素晴らしい作品が作れるのかなと何となく思ったからだった。だからそういったある意味で軽くて外発的な、他人に影響された動機だった。あと、本を読めばもう少し物事を深く落ち着いて考えて行動できるようになると何かのサイトにも書いてあった。

 

そして、本をまた読もうかなと決意する2年前、2022年にこの本を買っていた。買ってからそのまま下の「先生と遺書」の序盤まで読んで、そのまま放置していた。そこから2年経った今、途中から読み始めて先ほど物語を全て走破した。誰かによる後書は感想を書いてから読もうかなと思う。

 

なぜこうも経歴を振り返ることから始めているのかよく自分でもわからないが、こころを初めて読んだのは高校3年生の頃だったと思う。国語の授業で読まされたが、あまりに文章を読むのが愉しいというか、内容が暗いから愉しいっていう言葉では表すのは適切ではないが、とにかく引き込まれた。国語の授業が1週間の楽しみになった程だった。

 

それ程引き込まれた本を途中で放置したのがよくわからないが、なぜ今になって読み始めたのかということの方がよく分からない。私はこう見えて外交的な人間で、色々な人々に出会ってきたが、新しい人々に出会えば出会うほど誰かが離れていくというか、出会った人たちが全員離れていくように最近は思えてならなかったからなのかと思う。だからふと思い立ったかのように読むのを再開して、この本の中に何かの救いや答えのようなものを求めたのかもしれない。

 

やはりべらぼうに読んでて愉しかったというか、読者を引き込む力が本当に半端ではなかった。再開してから体感で三日で読み終えたような気がする。死ぬほど面白かった。あまり今までの読書量がそこまで多くないからわからないけど、本当に今まで読んだ本の中でトップクラスに印象深かった。

 

「先生」の遺書が終わった時、「私」のモノローグに戻るのかなと思ってたけど戻らずにそのまま物語が終わった。その結果、「私」と自分が同化して、だから先生は自ら命を絶ったのかと思った。先生という人が実在して、本当にその人の遺書を読み終えたかのような感覚に陥ってしまった。

 

先生のような、人に対して疑心暗鬼になったり、他人を欺いてしまうような心の性質というのは、自分にだってある。人というのが、一筋縄ではいかない複層的な存在であることを強く印象付けられた。結局Kが先生に対しての真意のようなものを殆ど遺書には書いていなかったように見えるのがまた想像を掻き立てた。

 

思えば先生が自分のしたことを告白できていたら、道は違っていたのかもしれないと思うがそな難しさは想像するに余りある。Kも先生も妻も誰も本当の思いを語っていないように思う。

 

人として生きることの難しさが説かれたような話だった。読めてよかった。夏目漱石さんといえば超メジャーな作家の1人かもしれないが、そういうのは関係ないと思う。

心からおすすめしたい。多分もうこの本のことを忘れられない気がする。